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日本語に「地縁血縁」という言葉がある。「地縁」は自分の住んでいる地域の人々との付き合いやつながりのこと、「血縁」は血のつながっている者、すなわち家族や親せきなどとの付き合いやつながりのことだ。
ところが、今の日本では、それらの「縁」が急速になくなってきている。つまり独身のまま年を取り、親はなくなり、兄弟との付き合いもない人や、都会の集合集宅暮らしで、隣に誰が住んでいるのかも知らないし近所に知り合いもいない人が増えてきているのだ。日本は今、「無縁」の時代を迎えている。家で亡くなった数カ月発見されなかったというニュースも、珍しくなくなった。
その原因の一つが、未婚率の上昇だ。最近の統計では、30~40歳の男性の47.1%、女性の32%が未婚であり、35~39歳になっても、男性の30%、女性の18.4%が結婚していない。さらに、50歳になっても一度も結婚して否人の割合は、男性で16%、女性で7%余り。つまり、50歳になっても男性の6人に一人以上が独身で、おそらく一生独身で過ごすことが予想されている。男性は女性に比べで地域社会に知り合いを作りにくく、また家族との縁も切れやすい。独身の上に、さらに不況で仕事を失ったりすると、人との縁がまったく無くなってしまう例が多い。
日本は年間の自殺者が3万人を越える「自殺大国」だが、こうした「無縁社会」の進行で、なくなっても身元がわからない人、わかっても家族や親せきが遺骨の引き取りを拒否する例などが増えているという。そうした死は「無縁死」と呼ばれている。
(瀬尾理生/ステップ日本語三月号)
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